2009年 秋
 小さなセスナに乗り込む |
 大地が突然断ち切られる |
 峡谷上空へ |
 コロラド川が大地を侵食する |
 意外にも澄んだ水面 |
 リトルコロラド川のゴルジュ |
 比高1400mの断崖 18億年の露頭 |
 地表の石灰岩層が風前の灯火 |
 隔離された台地 ザ・ドラゴン |
 巨大なビジターセンター |
 地質のジオラマ わかりやすさ抜群 |
 デザートビューから眺める |
 晴れると頁岩の赤色が際立つ |
 ガケ沿いの遊歩道 歩き飽きない |
地球の記憶
コロラド高原を旅するワタシは乾燥した大地をひた歩く 長さ446km，幅16〜29km，高さ1400mの大峡谷はコロラド川の流れで作られた。 最も上部のカイバブ石灰岩層が２億６千万年前の堆積。最下部の片麻岩は１８億年前の変成を示す。つまり地球の履歴のおよそ半分をここで見ることができる。これらの地層は，７千万年前に海底から隆起して地上に現れた。超大陸パンゲアが分裂し太平洋プレートと北米プレートの衝突が始まったのが原因である。プレートの衝突による地殻変動は，この地域の地層を水平を保ったまま高さ3000mまで持ち上げた。こうしてできたコロラド高原に，600万年前，コロラド川が貫流することとなる。氷河を抱くロッキー山脈を源流とするコロラド川の流れは激しい。激しい侵食力で高原は急速に深く切り裂かれていく。
行けども行けども単調な疎林が続く
リスやコンドルが導いてくれる
ところが突然 我が目を疑う言葉を失う
足下にあるはずの地面がない
あるのはただ巨大な空間
大地の裂け目
グランドキャニオンの来歴の中では，その侵食などごくわずかな間の出来事でしかない。 地球の歴史を１年として計算してみる。最下層の形成が始まったのが８月１０日，最上層の形成が１２月１０日。コロラド高原が地上に現れたのは12月26日，コロラド川の侵食が始まったのは１２月３１日の正午過ぎとなる。人類が誕生したのが１２月３１日の夜８時過ぎなら，自分が誕生したのなど年が変わる瞬間のわずか０．２秒前のことだ。自分の存在のなんと狭小なこと。自然の創造のなんと広遠なこと。ワタシは思った
人の刹那と地球の悠久
コロラド高原の旅
それは地球の記憶をたどる旅